令和4年4月より、日本海新聞紙に”但馬を結んで育つ会リレーコラム ~地域の医療・福祉のあした~”が掲載されております。
改めて、今年度よりコラム内容を紹介していきたいと思います。
令和6年4月は千葉義幸代表の寄稿です。ご紹介いたします。
『医療介護の担い手不足』
NPO法人但馬を結んで育つ会代表理事
養父市医療福祉アドバイザー 千葉 義幸
私は豊岡市で開業している臨床医です。脳神経外科、脳卒中、認知症の専門医として日々診療をする傍ら、公立八鹿病院では非常勤で脳神経外科外来を担当しております。また、自分一人で対応できない但馬全体の医療福祉の問題に取り組むため、当コラムを定期掲載させていただいております「NPO法人但馬を結んで育つ会(TMS)」の代表理事としても活動しております。
今回お伝えしたいこと、それは但馬地域では人口減少、高齢化が進んでおりますが、それ以上に但馬の医療介護側の担い手がどんどん減っており、このままでは現状のサービスの維持が難しくなるということです。
昨年、豊岡市で在宅看取り家族の満足度調査が10年ぶりに行われました。その結果の中で、亡くなられた方の当時の世帯状況として、1人暮らしだった割合が前回と比較して5.5%から11.7%、夫婦2人暮らしの割合が17.4%から21.2%に増加しておりました。孤独死、老々介護の末の看取りが増えているということだと考えます。
さらに、「お世話を主にされていた方自身が、自宅で最後まで過ごしたいと思うか、また、実現可能だと思うか」の問いに、「希望するし、実現できると思う」と答えた方は、10年前は全体の18.3%であったのに対して今回は3.5%に激減し、「希望しない」と回答した方は12.8%から23.5%、実に全体の4分の1に及んでおりました。
それほど皆さまの医療介護環境は悪い方に進んでおり、われわれ医療介護従事者は実感していることですが、恐らく皆さまはご自分が当事者になって初めて実感されるのではと思われます。
では、どうすればよいのかですが、但馬に住む一人一人が自分ごととして医療福祉について考え、住民も医療福祉従事者も皆で支え合う気持ちを持ち、動き出すことが必要です。そして、もうそのような時期に来ていると考えます。
われわれTMSは、まさに但馬の医療福祉関係者をはじめ、住民の皆さまで構成されている法人です。故郷でこれからも暮らしていけるように皆さまと一緒に今後も取り組んでいけたらと思います。
日本海新聞 2024年4月26日金曜日 022ページ
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