活動レポート
2025年01月10日
日本海新聞コラム記事~地域の医療・福祉のあした~30

令和4年より、日本海新聞紙に‟但馬を結んで育つ会リレーコラム~地域の医療・福祉のあした~”が掲載されております。

令和6年9月は木谷妙子理事の寄稿です。

『多様な人材の活用』

当法人「あまのほ」(楽々むら)では、介護福祉士、特定技能および技能実習生として23人のベトナムの方が就労しています。2019年12月に初めて5人の技能実習生を受け入れました。

 当初は「言葉が通じるだろうか」「ご利用者が受け入れてくださるだろうか」などの不安がありましたが、その心配をよそに法人の環境にすぐ慣れて、まじめに一生懸命仕事に取り組む姿勢に、日本人である私たちが学ばせてもらうことが多くありました。

 現在、1期生5人のうち1人は介護福祉士の資格を取得し、ベトナムから夫も来日。本人は楽々むらで介護士として働き、夫は町内の別の企業で働いています。また、もう1人は結婚をして赤ちゃんを授かり、産休育休を取得し、1年後に楽々むらに復職しました。

 ほかの3人も介護福祉士を目指して、ただ今猛勉強中です。そんな1期生の姿を見ているせいか、後輩たちは勤務、生活態度も優秀で楽々むらになくてはなたない貴重な人材になっています。

 現在の日本は、医療・介護の現場における慢性的な人手不足が問題になっています。少子化に伴って労働人口が減少しており、求職者よりも求人者が多くなっている「売り手市場」の状況が生じています。

 そのため、求職者は賃金や職場環境、ワークスタイルなど、より魅力を感じる企業・職種に集まりやすいといった実態があります。

 厚生労働省の報告によると、25年における介護人材の需要に対する供給の不足は38万人分と予測されており、今後ますます人材不足の深刻化が懸念される状況となっています。

 すべての産業が外国人労働者に頼らざるを得ない状況ではあるものの、一方では外国人に偏見を持つ人が多いというのも実態で、外国人の人たちに労働者として本格的に定着してもらうためには、国として共生社会に向けたビジョンを明確にする必要があると思います。また、実際に受け入れる方も文化の違いを認め、真のパートナーとして接する覚悟が必要であると感じています。

 少子高齢化は世界各国で進行しています。特に日本は急速に進行している国であり、早急な改善が求められています。「多様な人材を活用し、労働人口を増加させる」ことは、取り組みの一つとして重要なことです。そして私たちの事業を継続していくためにも、最も必要なことだと思います。

日本海新聞 2024年9月28日土曜日 024ページ

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