
令和4年より、日本海新聞紙に‟但馬を結んで育つ会リレーコラム~地域の医療・福祉のあした~”が掲載されております。
令和6年11月は宮垣健生理事の寄稿です。
『仕事と介護両立へ環境整備を』
「ビジネスケアラー」という言葉をご存じでしょうか。働きながら家族の介護に携わる方をこう呼びます。経産省によれば、45歳から60歳までの年齢層の方が該当するケースが多く、今後、2030年にかけてビジネスケアラーは大幅に増加していくと見込まれています。背景には団塊の世代が後期高齢者に到達する、いわゆる「2025年問題」があります。
以前のコラムでも触れさせていただきましたが、われわれ但馬を結んで育つ会は、「2025年が当地における医療介護福祉の一つの転換点になる。この年以降、超高齢化社会となり、雇用や医療・介護などさまざまな分野で大きな影響が出てくるようになる。例えば後期高齢者が必要とする医療介護需要に対し、地域に病床(回復期等)も介護士も大幅に不足すると予測されている。さらに『働き方改革』の波は医師や看護師、介護士などにも及び、ますます医療福祉サービスの供給量が減っていくことも想定されている」という認識の下で、こうした将来不安を少しでも改善させ、地域の持続可能性を高めるべく活動を行っています。
ビジネスケアラー問題も重大な地域課題の一つだと考えます。ビジネスケアラーは年齢的にも働き盛りであり、企業にとっても重要な「人財」ですが、「職場の人に迷惑をかけてしまう」「出世や昇進を諦めないといけないかもしれない」「仕事をやめなければいけないかもしれない」といった、さまざまな不安を感じながら働いておられる方が多い、という調査結果もあります。ゆえに、仕事と介護の両立ができる環境整備が喫緊の課題です。
そうした中、厚労省は「育児・介護休業法」を改正し、来年4月※から順次施行されます。4月から義務化されるのは「所定外労働の制限の対象拡大」「子の看護休暇の見直し」「介護離職防止のための雇用環境整備等措置の義務化」など5項目になっています。あと4カ月あります。今から内容をチェックし、対応を進めていってください。
※掲載時のまま記載しております。育児・介護休業法の改正は令和7年4月から順次施行です。
日本海新聞 2024年11月29日金曜日 020ページ
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